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ヴァルローシェ大陸、その中に位置する大国スカルローク。
この国には昔から伝わる一つのお伽話があった。


† † †



それは昔。

とある村の神に愛された1人の少女の話。

少女は類稀なる魔力をもっていくつもの奇跡を起こし、人々にも慕われそれは幸せに暮らしておりました。

少女は大きくなり1人の男性と恋に落ち、授かった子供と共に3人で今までよりもそれはそれは幸せに。

そんなある日、国の戦争に夫が駆り出される事になりました。

もうほとんど敗北寸前の時だったのでこれでは死にいくだけ。

女は悲しみました、そして神に懇願したのです。



夫をどうか守ってください、私はどうなってもいい、夫と子供が幸せであれば。

私はこれまで充分に幸せでした、だから。



食事も睡眠もとらず願い続け、幾日がたったころでしょうか・・・。

もう限界に達したその時です、天からまばゆい光と共に一振りの剣が舞い降りてきました。

神が創りし剣は全てを超越し、どんな者も敵わない。



それを夫にもたせよ、さすれば戦いに勝利し、夫は無事に帰ってこられるだろう。



女は喜びました。

剣は一振りで何人をも薙ぎ倒し、水地火風とその魔力で天地をも味方につけました。

その通り、負け戦と思われていた戦争に見事打ち勝ったのです。



† † †


それはとても夢のある話で、国の子供達は皆憧れを抱いた。
しかし、それはとても表面上の物語、本当の話は知る者も少なく、哀しい物。
話中に登場する魔剣、現在でも空を切るようなその不確かな存在を信じてやまず、追い求めている者もいるという。


一説上、魔剣が誕生したと言われる頃から三百と何十年か後。
国暦972年。
バールという街の図書館で働く一人の少年、セイ。
彼は故あって子供の頃の記憶を失っており、家や両親の居場所すらわからず、育て親の死去後、妹のルカと2人
きりで暮らしていた。

そんなある日、その妹が“ エリア ”と呼ばれる区域に住む無法者達に連れ去られたという。
すぐに助けに行こうとするもセイはあまりに非力。
その為、話でしか聞いた事が無かった、<コントラクター>と呼ばれるエリア討伐を生業とした組織に助けを乞うべく
10人の内の1人、隣街であり城下街でもあるルクスに住む<クロム・G・ブルーベック>を訪れに行く。

冷徹なコントラクター、調子の良い医者、何もかも抱え込む少女、謎の2人組、
二重契約、
護る者、詠む者、操る者、

そして手に入れたモノ。


――――――全てが集約する、その先を知らずに。