double contract 第8話 +++ CAST セイ/sei/音成ねね様 クロム/crom/壱様 キャラウェイ/chara/山並かえで。様 +++ +補足 【 】内はただの読み方です。 ( )は演じる上での指定になります。 途中で出てくる、セイM、のMはモノローグを表しています。 (お手数ですが、台詞番号_sei_m と保存お願い致します) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ○ クロムの家・居間 001_クロム「おかしい」 002_セイ「あ、あの、何かあったんですか……っ」 003_セイM「 な、何だか良くわからないけれど、ジッと首を見られている……っ?な…何だろ う、どうかなっちゃってるんだろうか、鏡が無いから自分では見えないから訳がわからない。 何か……光ったのはわかる。だけど、それだけ 」 004_クロム「……お前、別に誰かと契約しているだろう。そういう事は初めに言っておけ」 005_セイ「……え?」 ベシッ、とクロムに首をはたかれる。 006_セイ「ぅぐっ!」 007_クロム「ここに契約の紋【もん】があった」 008_セイ「……えぇっ!!?しっ、知らないですよっ!!なっ、何でっ、えっ!?け、契約なん ……っむがっ」 素晴らしい勢いでクロムに口を押さえつけられる。 009_クロム「うるさい。耳元でがなるな(不機嫌そうに)」 010_セイ「(手を離されて、ゼエハア、と呼吸を繰り返す)」 011_クロム「知らないだろうが何だろうが、実際そこに証(あかし)はあった。今はもう消えたが な。……しかもおかしい」 012_セイ「おかしい、……ですか?」 013_クロム「そうだ。契約時に使われる紋様【もんよう】のパターンは様々【さまざま】だ。契 約一つとっても色々あるからな。しかし、過去現在、発見、創造された紋様の数は18。それ 以上でもそれ以下でもない」 014_セイ「はぁ」 015_クロム「……だが、今さっきお前に記【しる】されていた紋様はこれら全てに該当【がいと う】しない。見たことが無い」 016_セイ「は」 017_クロム「これでもそれなりには勉強している。情報も常に取り入れている。だが、あんなに 複雑なパターンからなる…………駄目だ、やはり無い。脳の片隅【かたすみ】にすら存在して いない」 018_セイ「………………ない」 019_セイM「 ……そんな、訳のわからないモノが、自分に 」 しばしの間。 020_セイ「だ……大丈夫なんですか、僕……?」 021_クロム「さあな」 022_セイ「さ、さあな、って」 023_クロム「とにかくお前に覚えは無いんだな」 024_セイ「も、もちろん」 025_クロム「(舌打ちを1つ)」 026_セイ「……っ(ビクッとしながら)」 027_セイM「 な、何て舌打ちが似合うんだろう……; 」 028_クロム「額【ひたい】と胸、片方を選べ」 029_セイ「え」 030_クロム「首はすでに契約済みだ。何の契約すらわからんがな……。二重契約【にじゅうけい やく】になるが、残りでやるしかないだろう」 031_セイM「 何だお前はそれ位わかるように頭を働かせろバカが、とは言わなかったけど。言 わなかったけど、絶対思われてる。絶対 」 032_クロム「どっちだ」 033_セイM「 首はダメ。残るは額と胸。……脳か心臓……うう、どっちをとってもヤな感じだ 」 034_クロム「早くしろ」 035_セイ「じゃ、じゃあ……額、で。見える所にあると、不安になってしまったりするんで……」 036_クロム「普通、見えない方が不安にならないか……?」 037_セイ「え?」 038_クロム「額だな。これ以上何かあったらやめるぞ」 039_セイ「だ、だいじょう……」 040_クロム「刻々【こくこく】と過ぎ去りし往【ゆ】く時よ。遍【あまね】く躍動【やくどう】、 浸【ひた】りし静寂【せいじゃく】、その術【すべ】を纏【まと】いし光と闇が交差する先よ、 暗紫【あんし】に照らされしその時にかさなり、粉塵【ふんじん】に舞い躍【おど】る幾重【 いくえ】の煌【きらめ】き、幾層【いくそう】の瞬【またた】き、全ての理【ことわり】にそ むく事なく其【そ】の流れに逆らう事なく個々【ここ】にしるす事を許し与えたまえ……(できるだけ早口でお願いします)」 041_セイM「 ……早すぎて、何を言ってるのかわからない……これが詠唱【えいしょう】と言 うものだろうか……。つむがれる旋律【せんりつ】、不思議な雰囲気、意識が朦朧【もうろう】 とする…………まるで、暗示をかけられているみたいだ…………すくい出す血……血…… 」 セイの心臓が早鐘のように鳴り出す。 042_セイM「 近づいてくる、血に濡れた指。鉄の錆の様な匂い。赤い、紅い血が。……動悸が 激しい、身体が、拒絶反応を起こす。汗が、じっとりと肌を這う。気持ちが悪い。焦点が合わ ない、そうだ、目を閉じれば……見なければいい、見なければいいんだ 」 043_セイ「……っ」 044_セイM「 な、何……?血で、僕の額に何か……何かをなぞる様に書いた……?詠唱は続く、 言葉というより、まるで、一つの生き物として存在しているような……そう……いわば、言霊 【ことだま】のごとく。クロム・G・ブルーベックという人間に、まるで染み付いている様な 錯覚【さっかく】さえ覚える 」 その瞬間、バシィッ・・・!!、と衝撃がセイを襲う。 045_セイ「だ……っ!!!」 046_セイM「 ひ……っ、額が痛い……っ、ヒリヒリする……! 」 047_セイ「いっ、今のは……っ?」 048_クロム「今のは契約が承認【しょうにん】され、紋様【もんよう】をお前が取り込んだ衝撃 だ。儀【ぎ】は成功した。……ようやくな」 049_セイ「は、はぁ……」 050_セイM「 ま、まだ何だか少し痺れてる…………ん?あ、あれ……?思わず額を押さえちゃ ったのに、手に血がついてない…… 」 051_セイ「あ、あの……」 052_クロム「手を洗ってくる。いつまでも血をつけている趣味はないんでな」 053_セイ「ぼ、僕もいいですか……。額がどうなってるのか……あの」 054_クロム「……勝手にしろ」 セイを待つ事無く、クロムはスタスタと出ていく。 055_セイM「 ブルーベックさんは何を……契約……一体、どうなってるんだろう…… 」 ○ クロムの家・洗面所 ジャーッ、と水が流れ出る音。 056_セイM「 鏡の向こうの・・・・・・僕。額に、血の、朱色の紋様。計っている訳でもないのに左 右対称に描【えが】かれたそれはとても規則的。所々【ところどころ】文字らしきものも交ざ ってるけど・・・・・・古代文字みたいでよくわからないな・・・。中心を軸に蔓【つる】の様な線が入 り乱れて、それを閉じ込める新しい円【えん】。さらにそれを閉じ込める、曖昧【あいまい】 な線。その間に文字 」 057_セイ「(深いため息を一つ)」 058_セイM「 首の謎の紋様やら額の未【いま】だ何の契約かわからない紋様やら。・・・・・・どん どん日常から遠ざかっている気がする。ん・・・・・・あ、あれ?」 059_セイ「あ、あのー・・・・・・これ、血で書いたんですよね・・・・・・?」 060_クロム「ああ」 061_セイ「手にくっつかないんですけど・・・・・・」 062_クロム「すぐ消えるようだったら話にならん」 063_セイM「 そ、そうなんですけど、わかってるんですけど、仕組みは一体・・・・・・ 」 064_セイ「え、えぇと・・・」 065_クロム「取り込んだ、と言っただろう。血はすでにお前の脳の中だ」 066_セイ「はっ、はいぃ!?」 067_セイM「 の、脳!?脳の中に!? 」 068_クロム「その額の紋様は焼き付けられた痕【あと】だ。そうだな・・・・・・そろそろ消えるだろ う」 069_セイ「えっ、・・・・・・あ、本当だ」 070_セイM「 確かにさっきよりも薄くなり始めてる・・・・・・不思議だな、怪我が治るみたいな物 かな・・・・・・・・・と、とにかくこれでルカを助けられるんだ、今は気にしない方がいい 」 071_セイ「あ、あの、結局これって何の契約だったんですか・・・・・・?」 072_クロム「下僕だ」 073_セイ「・・・・・・・・・・・・は?」 074_セイM「 い、今なんて・・・?き、聞き間違いかな、でもさっきから凄く嫌な予感はしてて、 で、で、ででで、でも 」 075_クロム「フッ・・・(とんでもなく魅惑的な笑みを浮かべてます)」 076_セイ「えっ、えっ?(腰引けてます)」 077_セイM「 な、何だか、微笑まれてるのに鳥肌がたつのは気のせいかな・・・っ?こっ、怖い ・・・・・・っ 」 逃げ腰のセイに近寄っていくクロム。 078_クロム「下僕だ(さっきよりもハッキリとした口調で)」 セイがフリーズする。 079_セイM「 な、何を言っているのか分からないので、頭の中で、せ、整理しよう。・・・・・・下 僕。ゲボク。げぼく。・・・いわゆるパシリ?奴隷・・・とは言い過ぎなのだろうか。いや、この人 にかかっては多分そんな大差【たいさ】は無い 」 080_セイM「 下僕・・・男の召し使い。下男【げなん】。しもべ。・・・・・・奴隷・・・人格を認められ ず、他人の所有物として生産・労働に使役【しえき】され、売買・譲渡【じょうと】などされ る身分。こ、この差は結構違うけれど、きっとこの人の辞書では違いがないと推定 」 081_セイ「・・・・・・っ」 コン、ココン・・・コン、と玄関のノック音。 082_クロム「来たな」 083_セイ「えっ・・・・・・誰が」 084_セイM「 扉を開けてもいないのに、ノックの主【ぬし】が誰かというのを、さもわかって いるような言い方・・・・・・ 」 085_クロム「契約の前に言っただろう。ウチの情報担当だ」 086_セイM「 だから何で分かるんですか 」 087_クロム「お前も来い」 088_セイ「え、あ、は、はいっ」 セイとクロムは玄関のドアを開けに行く。 ○ クロムの家・玄関 ガチャ、とドアを開ける。 089_キャラ「・・・・・・こんにちは、ブルー」 090_クロム「ああ、珍しいな、お前が直々【じきじき】に来るのは 」 091_セイM「 ブルー・・・・・・あ、クロム・G・ブルーベックのブルーか・・・。この子は一体誰な んだろう。・・・見た目、15,6歳くらいかな 」 092_クロム「・・・・・・ん、お前、その怪我はどうした」 093_キャラ「えっ?あっ、えっと、これは別に何でも・・・!」 クロムに怪我をしている腕を取られる。 094_クロム「コレが何でもない訳あるか」 095_キャラ「痛ッ、は、離してブルー!」 096_セイ「怪我って・・・。な・・・ッ!!」 097_セイM「 紅【あか】いバンダナ・・・じゃない、赤色じゃなくて、血を吸い取った色・・・!? ・・・ッ!頭が痛・・・っ・・・・・・って、そんな事言ってられない・・・! 」 098_セイ「こんな怪我、このままにしてちゃ駄目だよ!!」 099_キャラ「えっ!?」 100_セイ「早く治療しないと、痕【あと】が残っちゃうんだよ!?」 101_キャラ「・・・・・・あ、あの・・・?ブ、ブルー、この人は・・・」 102_クロム「今回の依頼人だ。一応お前に害は無い」 103_セイ「ブルーベックさん、薬とか包帯とかありませんか!?とりあえず応急処置【おうきゅ うしょち】だけでも・・・・・・!」 104_キャラ「いや、あの、大丈夫ですからっ」 105_セイ「大丈夫じゃないよ!女の子なんだから!!」 106_キャラ「――――――!」 107_セイ「えっ?僕いま変な事言った・・・?」 108_キャラ「うっ、ううん、べ、別に」 109_セイ「・・・?えと、ま、いいか、それよりもブルーベックさん、薬は…!」 110_クロム「・・・・・・薬は無い。もちろん包帯もだが」 111_セイ「えっ」 112_セイM「 普通どんな家でも、せめて薬くらいは・・・・・・! 」 113_セイ「ほ、本当にですか・・・・・・?」 114_クロム「斜め向かいに医者がいるからな」 第8話・終了 < 戻 > |