double contract 第4話


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CAST
セイ/sei/小沢凌様
クロム/crom/飛鷺銀様
ニース/nees/織山カヨ様
コマ/koma/驟雨圭様


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+補足

 【 】内はただの読み方です。
 ( )は演じる上での指定になります。
 途中で出てくる、セイM、のMはモノローグを表しています。
 お手数ですが、台詞番号_sei_m 、と保存お願い致します。
 同様に、クロムMは、 台詞番号_crom_m 、として下さいませ。


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○ 城下街ルクス



001_セイM「 フラフラする……足元も、おぼつかない……山なんて、越えてくるんじゃなかっ
 た……でも、早く頼みに行かなきゃ……早く会わなきゃ……コントラクターに…… 」


   ここから静かめのBGM。


002_セイM「 あれから僕は山を越え、色々あって、隣街であり城下街でもあるルクスにたどり
 着いた。この街にいればどこからでもスカルローク城を見ることが出来る」

003_セイM「 白壁【はくへき】に輝く古城【こじょう】。その上の太陽がまぶしくそれを照ら
 す。街のにぎわいもさることながら、皆とても暖かい感じがする。平和、という言葉がぴった
 りきそうだ 」

004_セイM「 ……だけど本当は、平和なんて紙一重。この国<スカルローク>には本当の平和
 なんてモノはない。全てを脅【おびや】かすエリアという無慈悲【むじひ】な人間達。彼らを
 倒す役目を担【にな】っているのがコントラクター……って聞いたけど、一体誰が最初にそん
 な組織を作ろうと思ったのか。どうやってコントラクターを決めているのかもわからないし 」

005_セイM「 道すがら色んな人に聞いてみたけど、彼らの主な仕事は探偵みたいに街に事務所
 を設【もう】けて、依頼の元、動いているらしい。やっぱり命がかかっているし、慈善で【じ
 ぜん】で出来る仕事じゃないから、それなりの報酬は貰うけれど……街を荒らしに来るエリア
 の人達を倒したり、あるいはエリアに乗り込んで盗まれた物とかを奪い戻しにいくとか…… 」

006_セイM「 危険な仕事だ。コントラクターになる者のほとんどは、エリアの人達に家族を殺
 されたとか、少なくとも復讐心を持つ人間が8割を占めているそうだけど。でも、そんなコン
 トラクター達でさえ、立ち入る事を拒【こば】む場所がある 」

007_セイM「 それは、“エリア0”。全てのエリアにおいて、最強を誇るアウトロー、無法者
 【むほうもの】の集団が集まる街。街のはずれではなく、街1つをまるごと占拠している為、
 奴らのしたい放題。彼らは、今では我が物顔で街を闊歩【かっぽ】している……みたいだ 」


   ざわざわ、と街の雑踏。


008_ニース「コントラクターだって?ああ、先生の事だね!今時珍しいよ、あんな良い人。そう
 思わないかい?」

009_セイ「はぁ……そうなんですか……?」

010_ニース「それにしてもアンタ、バールから来たって本当かい?目の付けどころがいいよ、先
 生はこの街の自慢!欲目ぬきでも、コントラクターbPと言ったら、クロム先生だからねぇ」

011_セイ「ほ…本当ですか!?」

012_ニース「嘘つく必要がどこにあるって?クロム先生に目をつけられたら最後、エリアの奴ら
 なんてひとたまりもないねぇ!」

013_セイM「 …よ…良かった…ここまで来たかいがあった…! 」

014_ニース「それにしてもボク、顔色悪くないかい?お腹でも痛いのかい」

015_セイM「 いろんな人に、この街のコントラクターの事務所の居場所を聞いていたら、果物
 屋のおばさんが気前良くも連れて行ってくれると言ってくれた。店は旦那に任せときゃいいよ、
 と本当に助かった……ただでさえ知らない土地な上に、この街は少しいりくんでる。実はさっ
 きまでずっと迷ってた所で…… 」

016_セイ「…い、痛いというか…それよりも…その…」

017_セイM「 やばい…ふらふらする……目の焦点も合ってない……本当にこのままだと… 」

018_ニース「……?あ、ほら、着いたよボク!…本当に大丈夫かい?ここだよ、ここ!」

019_セイ「え……」


   一時、間があく。


020_セイM「 ……わ、わからない…ただの家のように見える……。シンプルな、飾り気の無い
 白い家。不思議なのは、玄関の扉まで白い事と……アパートでもあるまいし、2階から下につ
 ながっている活用意味不明の…ゆるやかなカーブをえがく螺旋階段…………ある意味変だ、こ
 の家。普通、コントラクター事務所、とか何とかわかりやすく書いたっていいのでは…? 」

021_ニース「じゃあ…あたしは店に戻るけど、本当に大丈夫かい…?」

022_セイ「は、はい…有難う御座います、ご迷惑をおかけ致しました…!」

023_ニース「…………そう…かい?それじゃあ、無理はするんじゃないよ、そんな細い身体して
 るんだから、すぐに倒れちまうよ。じゃあね」


   遠ざかっていくニース。


024_セイ「あ…ありがとうござい…………っ………」

025_セイM「 僕は戻っていくおばさんの背中に向かって、お礼を言い切れなかった。それどこ
 ろじゃなかった。街並みがうねる、世界が回る、地についているはずの足がもつれる、身体か
 ら力が抜ける。そして……………………………目の前が暗く、シャットダウンした 」



○ 同・果物屋

   ざわざわ、と街の雑踏。


026_ニース「おや、クロム先生じゃあないの」

027_クロム「ああ、こんにちはニースさん。今日もお元気そうで何よりです」(にっこりと)

028_ニース「あっは、そうだねぇ、あたしは元気だけが取り柄だからねぇ。…それより、30分
 位前くらいに先生の所に客が来てたよ。この街のコントラクターの事務所が知りたいって聞く
 もんだから、あたしが連れていったんだ」

029_クロム「ん……30分前ですか。困ったな……買い物に出るんじゃなかったかな」

030_ニース「買出しかい?勿論ウチでも買っていくんだろうねぇ?先生ならいくらでもサービス
 してあげるよ。どうせどこで買い物してもおまけがついてくるんだろう?人徳があるからねぇ」

031_クロム「いいえ、そんな事ないですよ。皆さん、とても良い方ばかりで勿体無いですよ」(
 にっこりと)



○ 同・クロムの家の前



   足をピタリ、と止めるクロム。


032_クロム「30分位前に、か…………」(ここから無愛想に)

033_クロムM「 ………髪、紫がかった青。髪、同色、やや外側にハネ気味。膝下よりも長い丈
 の赤い上着。歳、16,7ごろ。女顔だが、かろうじて男。身長、160少し、痩せぎす 」

034_クロム「……………それが何故、俺の家の前で倒れている」



○ クロムの家



   カチ、カチ、と小さく時計音。


035_セイM「 ―――ボンヤリとしている。暗い。闇。どうして、こんな所にいるんだろう。暗闇を彷
 徨【さまよ】っているんだろう。何も、手はどこにも触れない…………前にもこんな事が……あった
 ような……?…………僕は……そうだ……ルカ……僕は何をしていただろう……確か、確か…………
 ………そうだ!!! 」


   ガバァッ、とベッドから起き上がるセイ。

036_セイ「コントラクター!!!」


   ガスッ!、と何かがセイの額にぶつかる。結構重く鈍い音。


037_セイ「痛ぁッ!!」(相当痛がって下さい)

038_セイM「 な……何……ッ!?〜〜〜〜〜〜ッ!!何か顔にぶつか……っ!!い、一体何が………
 …ハ、ハードカバーじゃないか……っ!! 」(泣きそうに)

039_セイ「こ、この前も、ぶつけたばかりなのに……っ!うぅ…………あ、あれっ?ここ……どこ?」」

040_セイM「 ……白いベッド。何で僕……というか、誰のベッドで僕は眠って……?しかも、この本、
 題名が……じ、自堕落【じだらく】主義における完璧なる構造…………い……一体どういう…………
 で、でも本当に、ここって…… 」

041_セイ「……!!」

042_セイM「……今まで、気付かなかった……気配すら感じなかったのに……人が」


   一時の間。


043_セイ「…………え、えと……あの……」


   一時の間。


044_セイ「……うぅ……だ、誰……?気まずい……でも、何で……だろう、目がそらせない……」

045_セイM「吸い込まれそうな、エメラルドグリーンの瞳。あれ、そういえば僕……コントラクターさ
 んを訪ねに、さっき…………って、まさかココって。えぇと、ちょっと待てよ。確か僕は果物屋のお
 ばさんにその家まで連れてきてもらって、それで、その後、意識が遠のいて…………それで、この人
 は…………」

046_セイ「あ、あの…………」

047_セイM「 凄く……綺麗な……あ、男の人に綺麗だなんて、言っちゃ駄目かな……。身長高いな、
 180cm近くはあるかな、少し硬質【こうしつ】そうだけど、真っ直ぐな金髪……でも、顔が整い
 すぎてて、何か黙ってると怖い…………あ、もしかしてこの人って…… 」

048_セイ「コントラク……」


   グ〜〜〜ッ、とセイのお腹が鳴る。

049_セイ「―――!あっ、あのっ、その……っ!!」(恥ずかしがりながら)

050_クロム「極端【きょくたん】な栄養失調と睡眠不足。そして過度【かど】な運動による疲労」

051_セイ「へ?」


   ピンポーン、とそこへチャイム音。

052_クロム「…………誰だ」


   玄関へと向かうクロム、遠ざかる足音。


053_セイM「もしかして……あの人が…………」



○ 同・玄関



   ガチャ、とクロムが扉を開ける。


054_コマ「ん。先生、こんにちは〜」

055_クロム「コマか。どうした」

056_コマ「先生……。オイラは“ コマ ”じゃねぇって何回言ったらわかってくれるんですかい。今
 日は先生に用じゃないんす。ちょいとあがらせてもらいますよ」


   二つの足音が部屋に戻ってくる。

057_コマ「例の倒れてた坊や、どこの部屋に?」

058_クロム「そこだ。奥に入ってすぐ」

059_コマ「ここですか〜?……あ〜、おりますおりました、こんにちは」

060_セイ「…………ぅ、ぇ、え、えと、そ、その……っ」

061_コマ「あらら。何かおびえてまっせ、先生。何かしたんですかい」

062_クロム「誰が」

063_コマ「君、え〜と?」

064_セイ「―――あっ、セ、セイですっ。セイ・橘・ルミナリエと言います……っ」

065_コマ「うん、セイ君。腹へってますでしょ。コレ食べような、クリームシチューなんけど」

066_セイ「えっ、で、でも」


   グ〜〜〜ッ、とまたお腹の音が鳴る。


067_セイM「 い、今だけ死にたい…… 」

068_コマ「あはは、体は正直やんなぁ。遠慮は無意味無意味」

069_セイ「い、いただきます……」

070_コマ「はいはい。んじゃ、食べながらでええから聞かせてくれんか?」

071_セイ「あっ、は、はい!何でしょう」

072_コマ「食べながらでええて。ま、あれだね、どうしてセイ君クロム先生んちの前で倒れてたんかね」

073_セイ「や……っ!あちっ!」

074_コマ「落ち着け言うんに。火傷してまうよ」

075_セイ「すっ、すみません……っ、じゃなくてっ!や、やっぱりここって、ブルーベックさんのお家なん
 ですか!?」

076_コマ「そう」

077_セイ「コ、コントラクターの……!?」

078_コマ「そうそう。セイ君、一日中昏睡【こんすい】状態でなぁ。昨日、倒れとるセイ君と、つっ立
 ってる先生をオイラが見つけてな、ドクターに部屋まで運んで貰ったっちゅう訳だ」

079_セイ「ドクター……?お医者さんまで……!?」

080_コマ「いやいや、オイラはこの近くの医院の、助手兼給士をやっとってな。そこのドクターやから
 金の問題とかは無い無い」

081_セイM「 一日中……という事は、僕は、その間ずっと、先生のベッドを占領【せんりょう】して
 た……?そ、そんな、迷惑な事を……!? 」

082_コマ「なに。先生からなんも聞いてなかったんか〜」

083_セイ「さ、さっき目が覚めたばかりだったので……」

084_コマ「そっか。ウチのドクターの診察によると、“ 極端な栄養失調と睡眠不足に、過度な運動に
 よる疲労 ”と出たがな。栄養失調とは聞いてらんねぇから、こうやってオイラがゴハン作ってきた
 、と。ドクターにも言われたしなぁ〜。あの人は子供に弱い……ってか、可愛いモンに弱いんか……
 ?」(……ってか、から小声で)

085_セイ「……?」

086_コマ「―――それにしてもだっ!セイ君、何したらそんなにボロボロになってまうん?」

087_セイM「 さっきから思ってたけど……何だか変わった喋り方をする人だな……どこの出身なんだ
 ろう…… 」

088_セイ「えぇと、あの、僕、実はコントラクターに依頼しに……」

089_コマ「……おやまぁ、先生、実はセイ君お客さん。…………って、無反応ですかい。まったく先生
 は……」

089_セイ「それで……ここまで来る途中でちょっと……ありまして」

090_コマ「ほうほう。で、セイ君はどこからどうやって?聞いてもええ?」

091_セイ「あ、はい。バールから歩いて」

092_コマ「ん。バールったら山1つ向こうの隣街【となりまち】か〜……って歩いてぇっ!?あ、は、初め
 て見るわな……あの距離を歩いてくる人…………疲労の原因はソレか〜……。しかし、何で馬車とか
 使わんの?」

093_セイ「……お、お金が……足りなくて。使おうにも、その……」(どんどん声が小さくなる)

094_コマ「……も、もしや、その歳ですでに苦労な生活を…………」

095_セイ「い、いや、そ、そうじゃなくて……っ、で、でも、そうなんですけど……って、いやいや、
 あ、あのっ、そのっ」

096_コマ「セ、セイ君、落ち着け落ち着け。えー、あー……っそうそう!栄養失調と睡眠不足の訳もわ
 かっとったら〜、教えてほしいなぁ〜」

097_セイ「あ、はい。その……急いでたので、少しでも近道を通りたくて、街経由【けいゆ】ではなく
 て森の方を通ったっわけで……」

098_コマ「森。…………ってまさか……バラレスの森じゃなかろうね……?」

099_セイ「そ、そうです、バラレスの……」

100_コマ「あいた〜、あの森はいかんわ、魔の追い剥ぎ【おいはぎ】ポイント」

101_セイ「や、やっぱりそんな所だったんですね……」

102_コマ「それで案の定【あんのじょう】、見事に金も食べ物も、荷物までも持っとらんかったんか」

103_セイ「は、はい……その後も怖くて、また会ったらどうしようかと。だから寝ないでひたすら歩い
 てたんです……」

104_コマ「でっ、でもまぁっ、なんとかココにたどり着いて良かったなぁ。野垂【のた】れ死にしなか
 っただけでも…………んっ、あ、そろそろ戻らんと、休憩時間終わってまう。んじゃま、食べ終わっ
 たら、そこらへんに置いといてくれます?後でまた取りに来ますわ」





第4話・終了










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